
| ●ミヤマチャバネセセリ第3化を今年も確認 | |||||
| 8月19日、多摩川中流域・府中側のミヤマチャバネセセリ発生地に第3化の蝶を探しに行きました。少し早いせいか、150m幅程度の発生地のみでしか確認できず、6頭で1頭を除いてすべてが極めて新鮮な個体でした。付近のヤブガラシの花などではイチモンジセセリ、キマダラセセリ、チャバネセセリなどが求蜜に飛来していますが、ミヤマチャバネセセリはまだ下草周辺にいて、花のある上部までは出てはいませんでした。 今年のミヤマチャバネセセリ調査(ただ歩いただけではありますが…)では、7月1日、同じ場所で第2化を多数確認、8月5日は同じ場所をたたき出しまでして探しましたが1頭も姿を見せませんでしたので、19日観察した個体は第3化であることは確実と思います。なお、対岸の多摩市側の拡散地にはミヤマチャバネセセリはまだ飛来していませんでした。また、この時期ぐらいから発生するギンイチモンジセセリ第3化も、まだ姿を見せておらず、来週になると思います。 ※ミヤマチャバネセセリは通常は年2化とされます。ところがこの場所では年3化でした。しかし、一般には観察例も少ない珍しい種類のせいか3化が定着しておらず、そのために毎年確認・記載しています。どなたか研究なさる方がおられるなら、資料を提供いたします。 ※8月21日、ギンイチモンジセセリ第3化を多摩川・多摩市側の河原で目撃しました。この蝶は国の準絶滅危惧種ではありますが、多摩川花火大会では生息地の草地が刈られてしまいます。しかし、水際などの草地が残存、よく年の春から再生した草地にこの蝶が広がります。花火大会が始まってからこのサイクルによって個体群が活性、数も増えているようです。
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| ●変わった生態の小さな蛾 | |||
| 8月15日、京王線・聖蹟桜ヶ丘駅前(多摩市)の街路樹でセミヤドリガの幼虫が寄生したミンミンゼミを発見しました。この蛾は樹皮に産まれた卵から孵った幼虫がセミに取り付き、体液などを吸いながら急速に成長、セミの寿命があるうちに繭を造り蛹化、やがて開翅幅2cmほどの地味な蛾となるとされています。普通は丘陵地の薄暗いスギ林などに多いヒグラシに寄生します。今回は市街地で、しかもミンミンゼミに寄生した珍しい例と思います。 蝶や蛾の仲間は草木の葉などを食べる草食が主流で、一部にアブラムシ、アリの幼虫などを食べる肉食の種類も見られます。しかし、セミヤドリガのような寄生する例は特殊で、どのような進化を経ているのか? 見当すらつきません。 ※セミヤドリガは本州、四国、九州など暖かい地方に多いとされています。 ※セミシーズン真っ盛りです。10日程前に聖蹟桜ヶ丘駅近くの街路樹でクマゼミが鳴いていました。昨年も近くの公園で発見! 写真も撮りました。いよいよ、関東平野にもクマゼミが定着してきました。
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| ●田んぼの側溝・自然観察 | |||||
| その昔、田んぼに水を引き込む側溝は土を掘ったままの溝で、川や池とつながり、多くは常に水の流れがありました。このような場所はほとんど消えましたが、多摩丘陵周辺の畑地、田んぼには昔のままの場所もわずかに残っています。ここでは適当に泥が積もり、水辺の草も多いのでたくさんの生き物を見ることが出来ます。泥の中には外来種のタイワンシジミ(外来種)、少し水のきれいな場所には蛍の幼虫が好むカワニナも見えます。魚も種類が多く、川から水を引き込んでいる場所ではメダカの姿はなくなりましたが、グッピー(外来種)やオイカワも泳いでいます。小さな網で水中を探るといろいろなヤゴやドジョウの仲間、アメリカザリガニ(外来種)など、小さいのに立派なひげのあるナマズの子供がいることもあります。一方、側溝をコンクリートで造ったU溝を連結したように造られた場所は、泥の堆積は少なく、水の流れをコントロールするので、上記のような生き物のほとんどが生きてゆけません。田畑の作業効率を考えると土の側溝は消える運命なのでしょうが、その為に多くの生き物が消滅していくことを知っておくことも大切と思います。夏休みにこのような場所を歩くのも楽しいし、いろいろと考えさせられるのでは。 ※下の写真は京王線・聖蹟桜ヶ丘駅(東京都・多摩市)近くの一宮地区に残る畑地と田んぼ周辺で撮影しました。 ※8月18日、午後3時頃、多摩川中流域の関戸橋の少し上流で昼間なのに大きなナマズが泳いでいるのを発見! このこと自体は時々あるのですが、なんと4〜5尾集まっています。どうも産卵行動のようです。時期的には遅すぎますが、いろいろ調べると、例がないわけではないようです。今年の多摩川はアユが多く、泳いでいるのがよく見えます。
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| ●珍しい高山蝶に会いに行く | |||
| 北アルプスと南アルプスのごく限られた場所に残存する高山蝶・タカネキマダラセセリを撮影するため、7月28日から穂高を登りました。この蝶は本来は極北周辺のような寒冷な地域に生息する種類です。現在見られるタカネキマダラセセリは、その昔、日本に何度か訪れた氷河期のうち、最終氷河期以前のいずれかの時期に定着、その後、ほとんどが絶滅、極めて限られた場所に残った種類と考えられています。生息地は亜高山針葉樹林のさらに上部で、標高2000mを超える急峻な斜面に生えるダケカンバ林の間や上部にある草地に限られます。ここに生えるイネ科のイワノガリアスが食草で、卵から2年間は幼虫で過ごし、蝶になるまで3年かかります。習性は草原の上を俊敏に飛び回り、いろいろな花で求蜜しますが、日がささないとまったく姿を現しません。今回は生息域の下部から上部までを探索、天候にも恵まれ、かなりの数を見ることが出来ました。 ※本種はかつて島々谷や上高地平での記録があるようで、その場合、生息域は標高は1600mほどから上となります。しかし、現在ではこれらの場所からは見つからず、本来の生息環境ともかなり違います。おそらく、以前はそのような場所にもごく少数が残存していたか、標本ラベルに島々谷や上高地と書かれていても周辺の稜線付近なども含んでいたのかも知れません。 ※タカネキマダラセセリ(飛騨山脈亜種)は準絶滅危惧種のカテゴリーに入り、個体群は安定しているものの生息範囲が極端に狭い。長野県では全域指定の天然記念物。
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| ●梅雨末期の山地に現れる「宝石」のような森の蝶 | |||||
| 7月中旬になると平地、丘陵地で舞っていたオオミドリシジミやミドリシジミなど、森の蝶・ゼフィルスは姿を消します。しかし、この時期からブナ・ミズナラが生える森では山地性のゼフィルスが姿を現します。その代表のような種類がジョウザンミドリシジミ、アイノミドリシジミなどです。昨年、長野県・白馬村にこれらの蝶を撮影に行きましたが、早朝から8時過ぎに活発に活動するアイノミドリシジミ♂の撮影ができませんでした。今年は18日には梅雨が空け、早速、早朝のミズナラやブナの目立つ森に行きました。前回の経験からこの場所の撮影条件は綿密に計算していましたので、開翅カットなどたくさん撮影できました。それにしても金色に輝く数頭が樹冠をぬうように卍に乱舞し、テリトリー宣言のために葉先にパッととまり開翅する姿は美しく、しばしカメラを下に置いて眺めておりました。 ※山地のゼフィルスも見られる条件が限定されます。まず、本州中部山岳地帯の標高1000m付近なら、 ●7月上・中旬〜下旬まで→ミズナラ・ブナが多い原生林であること→林道など林に空いた日が差し込む空間であること→晴れていること→早朝から10時頃(ジョウザンミドリシジミ、アイノミドリシジミ)と3時半頃から夕方まで(エゾミドリシジミ) たとえゼフィルスの産地であっても、これらの条件に合わない昼間に闇雲に探しても、ほとんど出会いはありません。稀に姿を見ることが出来ても撮影は難しく、意図したカットは不可能に近いと思います。
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| ●初夏の多摩丘陵2・長沼公園周辺(一般向け) | |||||
| 開発が進んだ多摩丘陵のなかには、雑木林を残した自然公園が点々とあります。長沼公園はそれらの代表的な場所で、観察できる動・植物は小野路城址(下項目にあり)周辺と大きくは変わりません。公園内はよく整備され、トイレ、ベンチなどもあり、気楽な半日散策路といえます。なにより近くの高尾山に比べると静かな雰囲気が味わえます。この時期、雑木林周辺で目立つのがヤマユリで、Queen
of the Liliesの英名があるほど世界的に有名です。その他に大きな葉のオオバギボウシなども目立つ花です。クヌギの根元付近に樹液が出ていればノコギリクワガタ、カブトムシなどがいますが、ほとんどの場合、採集されてカンブンが残っているだけです。同じ場所にゴマダラチョウよりも少し大形で後翅に赤斑がある蝶、アカボシゴマダラも見かけます。この綺麗な蝶はマニアによって違法に日本に持ち込まれ定着したと考えられています。今年はキノコの当たり年で、有名なタマゴタケも例年よりよく見かけます。 【京王電鉄、長沼駅から徒歩5分で長沼公園、平山城址公園駅からは平山城址公園、百草園駅からは百草園、七生丘陵尾根道、聖蹟桜ヶ丘駅からはバスターミナル桜06番・永山駅・稲城駅行きで記念館前下車、桜ヶ丘公園へ。 昼食はいずれの公園も駅周辺にファミリーレストランなどがあります】 ※公園内の昆虫、サワガニやキノコ、花などは保護・育成されているので、採集は自粛が基本マナーです。カブトムシなどは公園周辺でも見つかりますので、そちらで探してください。カナブンが多数来るような樹液を出す木を見つけたら、日没後か早朝に行けば出会えます。ただし、マムシもいますので、あまり道から外れて薮を歩かないほうがよいのでは。
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| ●初夏の多摩丘陵1・小野路城址周辺(中級向け) | |||||
| 開発が進んだ多摩丘陵のなかで取り残されたように雑木林が続くのが、小野路城址周辺です。谷戸には田畑があり、周辺はほとんどがコナラやクヌギの薪炭林です。ただ、林が炭として切られなくなったのでうっそうとしており、ササなども勢力を増し、薄暗い雰囲気です。この林床にはイグチの仲間や、タマゴタケなどテングタケの仲間などの大きなキノコが見つかります。樹冠を見上げると多摩丘陵でも少なくなった国蝶オオムラサキが飛ぶのが見えますが、樹液を出す樹が少なく、なかなかよい観察ポイントは見つかりません。7月10日に歩いた時はヤマユリが咲き、産卵行動をするオオミドリシジミを発見! 樹液にきれいなルリボシカミキリも飛来していました。 【京王・小田急電鉄、多摩センター駅からバスターミナル11番・日大三校行き、扇橋下車。そのまま日大三校方面に少し歩くと左手に谷戸があり、道沿い進むと小野路城址方面の標識などあり】 ※小野路城址周辺は雑木林のなかに仕事道が錯綜しており、見通しも悪く迷いやすい。コンパスで進む方向などを確認しておくと安心できる。
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| ●変わった生態のシジミチョウ | |||
| この時期に出現する奇蝶・キマダラルリツバメを探しに神奈川県・旧藤野町周辺に行きました。この蝶は本州に分布しますが、発生地が少ないうえに極めて局地的で、最近は激減している種類です。まず、比較的数が多かった古い記録を調べました。それから残存する場所を守っておられる保存会の方々の情報もいただきました。これらを頼りに蝶の飛びそうな場所で待機していると、ものすごいスピードで梢周辺を飛び回るキマダラルリツバメを発見、数頭います。この蝶の他には、仕草や大きさなどもよく似たトラフシジミも混じって飛んでいました。 この蝶の幼虫時代は桜の古木などに棲むハリブトシリアゲアリの仲間の巣の中にいて、自分の体の蜜腺から出る蜜をアリに与えることで餌をもらいます。この関係は共生ではありますが、極めてデリケートなようで、時として、蝶の幼虫がアリの幼虫を食べることもあり、また逆に食べられることも報告されています。このアリは山深い場所ではなく、山間の人里を好むようで、蝶も同じような場所から大きくは離れません。 当地のキマダラルリツバメは絶滅した場所もありますが、まだ一部で残存しています。しかし、数は少なく昔のように容易には見つかりません。 ※神奈川県ではこの蝶を天然記念物に指定。県条例によって採集などは禁止されています。
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| ●里で繁殖する猛禽類 | |||
| 7月、里周辺で繁殖する猛禽類の雛も巣立ちです。巣を造る場所は松、杉林や雑木林などの針葉樹を好むのがオオタカで、縄張りは半径2kmほど。サシバは谷戸の田んぼを見下ろす杉林が多く、オオタカより縄張りは狭くなります。ツミは松林がある公園で見かけます。ハヤブサの仲間のチョウゲンボウはコンクリートの大きな橋を好み、集団営巣する橋もあります。この時期以前、4月の抱卵から雛が小さい時は親鳥は特に神経質です。野鳥好きは、この時期に林の中に巣があると思われる場所には踏み込みません。しかし、カメラ・マニアのごく一部の人ですが、写真を撮りたい一心で巣に近づきすぎ、親が巣を放棄させる事もあります。加えて密猟者もいて、巣立ち寸前のタイミングを見て雛を盗みます。日本の法律では日本産のオオタカなどを飼うことは出来ませんが、外国の猛禽の輸入は認められるものも多く、同じオオタカでもロシア産などが売られています。この辺りの法律の見直しがあれば、密猟は減るかもしれません。 あと少し、梅雨が明ける頃になると、これらの雛は次々と幼鳥となって林から出て、狩の練習などをします。その仕草は時にコミカルで、見ていてあきません。 ※「ひと目で見分ける287種 野鳥」新潮文庫・久保田修著 定価590円は今年4月の発売、半月ほどで出版社在庫もなくなり、品切れ状態となりました。この件でいくつかお問い合わせもいただき、申し訳ありませんでした。さっそく6月に2刷となりました。全国の本屋さんの新潮文庫のコーナー、大きな書店では生物コーナーの野鳥関連の本がある場所でも置かれていますが、ないときは注文してくださいね。よろしくお願いします。
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| ●梅雨期に現れる「宝石」のような森の蝶 | |||||
| 梅雨時になると雑木林ではクリの花が咲き、晴れ間を縫うように葉上に現れるのがゼフィルスと呼ばれるシジミチョウの一群です。これらの蝶のうち♂が金青緑色に輝く仲間がいます。多摩丘陵など低地で代表的なのがオオミドリシジミで、早朝8時頃から1時間ほどの時間帯に、数頭の♂が卍字巴に絡むように輝き舞います。種類によってこの舞う時間が異なり、ハンノキ林のミドリシジミは夕方です。ミズナラなどが多い深山ではジョウザンミドリシジミとよく似た仲間が数種類いて、これも種類によって舞う時間がずれています。この他に関東で珍しい種類として、高尾山山頂付近にフジミドリシジミ、陣馬山山頂付近のカシワ林にハヤシミドリシジミ、西丹沢方面のアカガシ林周辺では7月に入ると輝きが強いキリシマミドリシジミが見られます。普段目に付きにくい蝶達ですが、見た方を驚愕させるほどのインパクトがあります。この時期、林周辺で物干し竿のように長い柄の捕虫網をもっている方を見かけますが、ほとんどがこのゼフィルスに魅せられた蝶マニアです。 ※ミズイロオナガシジミは翅裏の黒条の異常型が時々見られます。特に黒条の幅が異常に広くなるのは岩手県に出現率が高いとされています。下の写真は後翅の黒条が標準より太く、内側に黒点が生じるタイプ。よく似たものに黒点と黒条がつながるものも知られます。
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| ●南八ヶ岳で花とカモシカを探す | |||||
| 6月9〜10日、美濃戸から赤岳、横岳の稜線付近を歩きました。美濃戸から森林限界付近までは亜高山針葉樹の森が続きます。この時期、この森の下部にホテイランなど美しい花があり、丹念に探すと別の珍しい種類も見つかります。標高2800m前後の稜線はお花畑の季節には早すぎますが、コメバツガザクラやオヤマノエンドウなどが咲き始めていました。この時期、有名なのは横岳周辺のツクモグサです。本州ではこの地と、白馬岳山頂付近と周辺にしか分布しない珍しい種類ですが、稜線の登山道周辺を注意していれば程なく見つかります。 カモシカは残雪の多い時期よりは見つけにくいですが、森林が切れた崩壊地草付斜面を注意するのがポイント。八ヶ岳には毛の色が黒いタイプのカモシカがいて、クマと間違う登山者もいます。慌てず冷静に考えればクマには角はありませんし、この地域にはほとんどいません。ただし、今年はこの付近にもクマが入り込んだらしく、「熊注意!」の看板が設置されていました。 【JR中央東線・茅野駅下車、駅前から美濃戸口行きバスで終点へ。車の場合はさらに先、美濃戸まで入れる】 ※美濃戸南沢の出会いから少し奥にホテイランが多い場所があります。以前は知る人も少なかったのですが、最近は有名になり、多くの方が訪れます。花を探すために林床を踏みしめすぎると植生バランスへの過度な影響が心配されます。そこで、有志によりロープをはって、花の近くに観察プレートを設置、保護対策が試みられています。できるだけ林には入らないで、ロープから見ることのできる花を楽しんでください。また、ロープ内に入った人を極悪非道の輩と罵倒する人を見かけますが、行き過ぎた言動はお互いに慎むのが最低マナーではないでしょうか?
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