| 自然ウォッチングガイド『高尾山と多摩丘陵』 | |||
| ●アサギマダラの幼虫がいた | |||
| 12月7日、高尾山のケーブルカー上の駅売店に『高尾山と多摩丘陵』などの本を納入に行きました。その後、4号路から山頂へ、6号路を下まで散策しました。紅葉もほぼ終わりましたが、シモバシラ(シソ科)の氷花も解ける暖かな1日です。 イヌブナ林で有名な4号路では、キジョランの葉の裏にアサギマダラの若令幼虫がいました。アサギマダラの成虫は秋に海を越えて南の島に飛び去ります。残された卵、幼虫、蛹のなかで冬を越せるのは若齢幼虫のみ。それも、常緑のガガイモ科・キジョラン属にいる幼虫だけと考えられています。ガガイモ科でもオオカモメヅル属など、冬には枯れてしまう種類についたものや、大きくなった幼虫や蛹には寒すぎるのかもしれません。アサギマダラの越冬北限ラインは必然的にキジョランの分布域と重なることになります。キジョランの分布は関東以西、四国、九州、沖縄で、東京では高尾山が北限となり、奥多摩では見られません。 山頂付近の広葉樹林ではカラ類の混群と出会いました。上部にエナガ、メジロ、下部にシジュウカラなどがいて、コゲラも混ざっていました。さほど大きな群れではありませんでしたが、初冬の雰囲気です。 【京王線・高尾山口駅下車。JRの場合、高尾駅で京王線に乗り換え次の駅】
|
|||
| 自然発見ガイド・「野鳥」(学習研究社)など | |||
| ●ミサゴ、チュウヒなどの猛禽に出会う | |||
| 猛禽の中でもミサゴ、チュウヒは、オオタカ、ノスリなどに比べると、見られる場所がさらに限定されます。冬の時期、東京周辺でこの2種に出会えるのが東京都立葛西臨海公園です。ここ数年、必ず観察に行くようになりました。(2006年秋〜冬) 12月1日、11時前、公園の鳥類園を抜け、江戸川よりの海辺に出ました。ここから東なぎさより左方上空を眺めます。待つこと30分、大形のカモメにしてはかなり上空でも滑空する鳥を発見! 黒い首輪が…ミサゴです。ゆっくり旋回しながら高度を下げ、こちらに向かってきます。と、横にもう一羽、これもミサゴです。大きさに差があるのでペアでしょう。やがて2羽はゆっくり旋回して頭上にやって来ました。ここで大きく回りこみ江戸川方面に消えました。さらに30分経過、今度は対岸の東なぎさの低空を滑空する黒っぽい猛禽が出現、独特のV字飛行・チュウヒです。こちらは漁船が来たので高く上がって、そのまま西なぎさ方面に消えました。 お目当てとの出会いができたので本来の観察エリア・池周辺を散策、「キクイタダキがいるよ」と教えられ、松に注意していると2羽発見。夏の亜高山針葉樹林では見かけるものの、このような場所まで下りてきているとは…。 この公園は淡水と汽水の池があり、水鳥が人気です。加えて、沖にはスズガモなどの大集団が見られ、周囲の林でも思いがけない種類との出会いも少なくありません。 【JR京葉線、葛西臨海公園駅下車、駅前を徒歩で鳥類園方面に】
|
|||
| 自然観察ガイド・野山の鳥 | |||
| ●イヌワシが小鳥を襲った? | |||
| 11月17〜18日、幻の大きな猛禽・イヌワシとの出会いを期待して上越国境の深い谷に行きました。山は標高1000m付近より上は雪をかぶっています。 沢沿いの道をたどります。落葉した林ではほとんど野鳥を見かけませんでしたが、ヤマドリ♂が道の脇から飛び出してくれました。さらに歩いて複数の沢が合流する開けたところに到着、ここにテントを張り、さらに上流へ。待つこと1時間、少し雲が切れて青空が見えた時、沢の上部、雪をかぶった辺りからイヌワシが出ました。ほとんど羽ばたかず滑空、成鳥です。ゆっくりブナ林の尾根筋まで移動、林の上をなめるように飛んで向こう側に消えました。しばらくして、消えた辺りから再度姿を現し、谷を横断、岩峰と針葉樹が目立つ付近に入りました。 翌日、昨日イヌワシが消えた辺りのブナ林へ登ると、小鳥(羽を同定中)が猛禽に襲われた痕がありました。状況を細かく観察、昨日のイヌワシの仕業? と思われます。しかし、このような小さな獲物を襲う例はあまりありません。イヌワシの餌については巣に持ち込まれるものの観察記録はあるのですが、狩をする現場の例は多くはなく、まして一飲みにできるような獲物だと観察できるチャンスが少ないのかもしれません。また、この時期になるとイヌワシの好物、ヤマドリは山麓に下るし、ウサギも激減してることも関係があるかも知れません。
|
|||
| 自然発見ガイド 編集作業進行中の「山の花」など(学習研究社刊) | |||||
| ●晩秋の花を探す | |||||
| 11月5日、相模湖・石老山周辺に行きました。20日ほど前に同じ場所を歩きましたが、リュウノウギクなどのキク属は小さな蕾で、撮影ができなかったからです。今回はコースを変えて、帰路は人があまり通らない斜面を下ることにしました。山は紅葉の季節で、ケヤキなどの葉が散りはじめています。林の中の道を登りきり、稜線に出ました。リュウノウギクは日当たりのよい場所で咲いていました。と、その横にセンブリの花が! 前回は気づかなかったので、この付近では花の時期が遅いのかもしれません。 斜面を篠原方面に下りはじめると、イノシシが荒らした跡がいっぱいありました。杉林の縁でリンドウを発見! やはり山の秋はこの花です。花屋さんにあるエゾリンドウをベースとして改良したものとは、大きさ、花数は比較にもなりませんが、小さくても気品があり本当にきれいです。さらに下ると雑木林となり、重なった落ち葉の間から大きなキノコ、カラカサタケが出ており、美麗種ムラサキシメジ(食)もありました。このキノコが出るとシーズンも終盤です。里近くの草場でキジ雄が飛び出しました。向かいの山でヤマドリを見ているので、この辺りが両種の境界線でしょうか。 里から山麓沿いの舗装路を通り、バス停へ。途中日当たりのよい場所にはノコンギクの群落が目立ち、黄色のヤクシソウに混じってアワコガネギクも咲いていました。 【JR中央東線・相模湖駅下車、バスで石老山入口下車、顕鏡寺経由で石老山山頂、稜線沿いに篠原への下降路は数本ある】
|
|||||
| 自然発見ガイド・編集作業進行中の「山の花」など(学習研究社) | |||
| ●絶滅危惧種カワラノギクを探す | |||
| 多摩川中流域の野菊ではカワラノギクが有名です。この花は関東地方などの限られた河川でしか見られない貴重な種類です。生態はかなり変わっていて、河原の増水によってできる丸石河原にいち早く根付き花を咲かせ、その他の植物が侵入してくると勢力が衰退、いつの間にか消えてしまい、また新たにできた丸石河原に移動します。 今から10年ほど前までは、そのようにしてできたカワラノギクの大きな群落がありました。しかし、河川の環境の変化などで年々減少、最近では小さな群落が何ヶ所か残存するだけとなりました。事務所の近く、四谷橋、浅川合流点などにも記録があるので、丹念に探しましたがありません。そこで、羽村に育成・保護されている群落を見に行きました。しかし、先日の記録的大増水で河原周辺は全滅、わずかに残っていると教えてもらった野菊も別の種類でした。残存したのは土手側の少し高い場所の一角で、ここも冠水した跡がありますが、河原の樹で濁流の勢いが和らげられたのでしょう。ここからの種が新たにできている丸石河原に根付いてほしいと思います。カワラノギクは11月上旬でも見られます。 【JR青梅線羽村駅下車、駅前の多摩川へ下る道を羽村堰へ。細い橋を渡り土手を上流側に下りる】 <追伸> 多摩川の関戸橋・左岸(京王線・中河原駅近く)に保護・育成されていると思われるカワラノギクの群落がありました。
|
|||
| ●多摩川中流域のワシ、タカ類 | |||
| 聖蹟桜ヶ丘駅周辺は猛禽類が見やすいので有名となってきました。多摩川河川敷が絶好の狩場で、周囲に林が多いためでしょうか。現在は少し上流の四谷橋の上部、ワイヤー取り付け付近ではハヤブサが2羽、少し下流の関戸橋ではチョウゲンボウが毎年繁殖、今も橋付近に現れます。大栗川合流点や京王線架橋付近の中洲のヤナギではオオタカ、今年生まれた幼鳥、今年3年目の冬をむかえる若も出ます。この3種類すべてと朝の散歩で会えることも珍しくはありません。最近はコイを狙ってミサゴも飛来しています。これから木枯らしが吹くようになるとハイタカ、ノスリもやって来ます。近くの公園ではツミが渡らず冬越しをしました。都心からの交通の便もよいし、大栗川合流点は観察舎もあるのでおすすめです。 【京王線新宿駅から準特急で24分、聖蹟桜ヶ丘駅下車。徒歩で多摩川土手まで5分、大栗川合流点まで25分ぐらい】
|
|||
| 自然発見ガイド・編集作業進行中の「山の花」など(学習研究社) | |||
| ●野菊などを見分ける! | |||
| 10月13日、相模湖の近く石老山、高塚山周辺を歩きました。 山麓でまずユウガギク。この仲間(シオン、ヨメナなど)は野菊の仲間でも識別が面倒で、葉などの大まかな区別点、その地域で見られる種類のリストなどが役に立ちます。しかし、実際には変異も多く、正確に判断するには冠毛などの違いまで見る必要があり、難しい仲間です。 山林を歩くようになるとシロヨメナが出てきました。葉がイナカギクのようには茎を抱かず、少し柄があるのが特徴です。同じような花ですが、下部に大きなハート形の葉のシラヤマギクもあります。稜線に出ると葉に分かりやすい特徴があるリュウノウギクが見つかりました。この仲間のキク属は咲き始めの時期が遅く、今年は10月下旬からのようで、まだ小さな蕾でした。 石老山山頂からから高塚山への稜線の草原では、総苞片が少し長く鋭く外に反り、花が横向きのタイアザミ、上向きのノハラアザミ、総苞が細長く花の印象もスマートなアズマヤマアザミなどが咲いていました。アザミも結構難しいのですが、花が上向き、横向き、下向きか?、総苞全体の形と総苞片などが基準となり、葉の切れ込み具合などを調べます。種類によっては花の時期の根生葉の有無も重要です。 『自然発見ガイド』では全体の雰囲気は写真で、ポイントをイラストで、解説文は簡潔にが編集方針です。野菊やアザミ、スミレなどの微妙な識別は、全体構成が終わってからも、標本検索ではなく、できうる限り野外で咲いている状態を再確認をしています。今回もそのような意図で入山しましたが、識別の迷宮に入り込みそうになります。 【JR中央東線・相模湖駅下車、バスで石老山入口下車、顕鏡寺経由で石老山山頂、ここから高塚山往復、大明神展望台経由で山麓へ】
|
|||
| ●多摩丘陵に現れた南の蝶2 | |||
| 多摩丘陵や多摩市(東京都)の市街地には以前は記録がなかった4種類の南の蝶が見られます。そのなかでナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモンは定着していますが、クロコノマチョウとムラサキツバメはまだ夏に飛来するだけでは? と考える方もおられます。しかし、クロコノマチョウは越冬成虫が撮影され、探せば姿を見ることもできるほどの数となりました。ムラサキツバメは2007年夏で紹介したとおり、春に産卵された第1化と思われる新鮮な個体を発見。その後、同じ場所で何度かの出会いがありました。9月20日には京王線・聖蹟桜ヶ丘駅前で死んでいる♀まで発見しました。食樹のマテバシイは市街地の各所に植えられており、かなりの数が発生しているようです。以上のことから、これらの蝶も定着しつつあるのでは? と思います。 問題なのが10年ほど前に外国から人為的に持ち込んだと思われるアカボシゴマダラ。悪ふざけではすまされない重大な犯罪です。この蝶は鎌倉などで定着、場所によっては調べた食樹のほぼすべてから幼虫が発見されたようで、その後も分布域を広げています。事務所のある東京都の多摩市でも市街、桜ヶ丘公園や大栗川でも度々目撃されるようになりました。私も唐木田駅近くの雑木林のエノキにとまっているものを撮影しました。 <追伸1> 11月8日、京王線・聖蹟桜ヶ丘駅前の小さなエノキでもアカボシゴマダラの幼虫を発見しました。 <追伸2> 12月24日、多摩市・連光寺公園で冬眠から一時的に目覚めた? ムラサキツバメ♀成虫を発見しました。
|
|||
| 自然発見ガイド「高山の花」(学習研究社刊) | |||||
| ●珍しいトラキチランを探す! | |||||
| トラキチランは最初の発見から50年もの空白の後再発見された珍しい腐生ランです。この仲間は世界に約7種、日本に3種記録されています。そのなかのタシロランは梅雨の頃、都心の明治神宮の森にたくさん現れるのを見つけました。その生態の観察体験から「トラキチランも時期、自生環境の条件をはずさなければ、かならず見つかる」と思うようになりました。トラキチランはタシロランのような常緑樹の森ではなく、亜高山針葉樹の森に生じ、私がよく歩く、北岳、八ヶ岳でも見つかっています。 9月15〜16日、八ヶ岳入山。時期的にはトラキチランの花には10日以上遅いのですが、咲き残りがあるかもと思いました。しかし、目星をつけていた森を歩きましたが花茎すら見つかりません。さすがに珍しい種類との出会いは難しいとあきらめて、横岳の稜線に登りました。稜線はトウヤクリンドウ、コウメバチソウ、タカネナデシコなどが咲いています。しかし、花は少なく、ヤツガタケキスミレの葉も黄色く色づいていました。ここではヒメセンブリや高山性のリンドウの仲間との出会いを期待していたのですが、本命の場所の少し手前で天候も悪化し時間切れ、これも空振り。 帰路、いろいろと考えて、あそこならトラキチランがある? と思えた別の場所を通ることにしました。幸運にも…正解! 咲き残りでしたがトラキチランを発見! 周囲も探しましたが、残っているのはここだけのようでした。あきらめないでよかったです。
|
|||||