取材・撮影裏話

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文章 K

■企画・編集室から(2007年 初夏〜夏)


自然ウォッチングガイド3「多摩川と源流の山々」
●晩夏の多摩川・中流域
  9月上旬、事務所を都心から、多摩川中流域の多摩市・聖蹟桜ヶ丘駅近くに移転して1年が過ぎました。
 多摩川の土手では晩夏の花、ツルボやニラなどが目立つようになりました。数は多くはないのですが、ワレモコウ、ツリガネニンジン、カワラナデシコやカワラサイコなどの在来種も健在、これらの花にヒメアカタテハやツマグロヒョウモン、イチモンジセセリなどの蝶が訪れ、極めて貴重となったミヤマチャバネセセリ、ギンイチモンジセセリも混じります。しかし、この2種は昨年の大規模草刈の影響か、数は昨年よりもさらに減って危機的な状況のように思えます。
 水際は草丈3mにも達するオオブタクサが昨年以上に繁茂し、そのブッシュの中には親子のタヌキ達もいます。今年はアユの遡上量が多いそうで、この時期、落ちアユとなって群れる姿を見かけます。20年前の汚れた多摩川では考えられないことでした。
 上空には今年生まれたオオタカの幼鳥も姿をあらわし、チョウゲンボウ、ハヤブサを見ることも稀ではありません。カワウはねぐらを変えたものもいるようで、昨年に比べると減り気味、大群の移動はほとんど見かけなくなりました。
 わずかに1年の観察ですが、この付近の自然環境は想像以上に大きく変化しているように思えました。
 【京王線・聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩5分】

咲き残っていたカワラサイコ

ツルボに来たミヤマチャバネセセリ

ギンイチモンジセセリ、絶滅した地域も多い

落ちアユの群れ


自然ウォッチングガイド7「高尾山と多摩丘陵」
●裏高尾散策
  8月24日、高尾駅から小仏川にそって上流へ、蛇滝近くまでの往復をしました。
 強烈な太陽を浴びるようにタマムシがエノキのまわりを飛んでおり、蛇滝への沢筋の水溜りの縁でカラスアゲハとモンキアゲハが吸水していました。1本上流の日影沢ではミヤマカラスアゲハもいるのですが、この沢では見かけません。日影沢にはこの蝶の食樹のキハダの大木があるのですが、この沢にはないからでしょうか。
 林の縁にはキツネノカミソリ、マツカゼソウ、ヤマホトトギス、ゲンノショウゴ、ハグロソウ、ユウガギクなどが咲いており、秋の七草のひとつオミナエシもありました。これらの花を見ていると、ほんの少し秋が近づいているように感じました。また、日当たりのよいブッシュの上にネナシカズラも見つかりました。このツル植物は芽吹き頃には根はあるのですが、植物に巻きつくと根はなくなり、もちろん葉もなく、すべての栄養を絡みついた茎から吸収する寄生植物です。
 さらに上流を目指して街道を歩きます。しかし、暑いし日射病になりそう…と弱気になっていたら、高尾駅行きのバスが来ました。少し早いのですが観察は終了としバスに乗りました。乗客は私一人、こんな暑い日に山麓を歩く人はいないようです。
【京王線・JR中央線・高尾下車、駅前から徒歩】

カラスアゲハ♂

モンキアゲハ、関東では山で見かける

ネナシカズラ

ミカン科で香りもよいマツカゼソウ


自然ウォッチングガイド2「上高地と周辺の山々」
●常念山脈北部・燕岳周辺のライチョウ
  8月13〜14日、中房温泉〜東沢・乗り越し〜北燕岳・燕岳〜合戦尾根〜中房温泉のコースを歩きました。目的は深夜のペルセウス座流星群を楽しむのと、稜線の動・植物群の観察と称した「お盆お休み山行」です。
 標高2700mの稜線からの夜空は天の川がはっきり見え、数分おきに大小の流れ星を見ることができました。稜線の砂礫地のコマクサは、例年だとこの時期は花は終わりなのですが今年は今が見ごろ後半といったところでした。同じ場所でライチョウ親子とも出会いましたが、連れている雛は1羽のみ、別の場所で見たという登山者も雛は1羽といっておられました。ライチョウは通常5〜6個の卵を産みますので、7月上旬の孵化から1ヶ月、かなりの雛が生き残れなかったことになります。さらに、この場所ではイワヒバリとカヤクグリがいて、微妙に棲み分けているのですが、通常イワヒバリのいる場所にもカヤクグリがいることも度々でした。気になるのは登山道沿いに動物の糞があり、その特徴からキツネと断定してよいものもありました。キツネによって高山稜線の野鳥が影響を受けているのかも知れません。この上、狩猟名人テンでも上がってきたら大変だと思いました。
  【JR大糸線・穂高駅下車、駅前からバスで中房温泉へ】

ライチョウ

イワヒバリ

朝日を浴びるコマクサ

花崗岩の岩肌が美しい燕岳


自然ウォッチングガイド「上高地と周辺の山々」
●オオイチモンジを探す!
  オオイチモンジは亜高山の河辺林にあるドロノキ属の木に発生する高山性の蝶で、本州では上高地(長野県)が確実に見られる貴重な場所です。
 成虫は7月上旬から8月上旬に姿を現しますが、最盛期は上高地では中旬の天候が安定しない梅雨末期です。しかも晴天でないと地上には舞い降りてきません。当然、出会いのチャンスは限られます。私は毎年のように、この時期にも上高地を通ります。しかし、オオイチモンジはたまに見かける程度でした。そこで今年はオオイチモンジと出会うことを第一の目的とした上高地行きを考えていました。
 7月中旬から上高地が晴れる日を待っていると、24日は移動性高気圧が通るので上高地は晴れそうです。しかも今年は亜高山の季節の推移はかなり遅れているからオオイチモンジの最盛期は下旬にずれ込むと推測、加えて、ここ1週間ほどは雨か曇天続きであった。つまり、24日はオオイチモンジとの出会いに最高の条件がそろうので、入山しました。
 天気は快晴。まず、出発点・河童橋の脇で最初のオオイチモンジ♂を撮影、明神、徳沢に至る開けた場所で次々とオオイチモンジを発見、徳沢園手前ではかなりの数を見ました。極めつけは徳沢園の食堂の中までオオイチモンジが入ってきたこと。条件がよいと予想以上によく見られることが分かりました。ところが、翌日は曇天、霧雨、時々晴れの状況となりました。昨日あれほど見られたオオイチモンジは出てきません。わずかに食樹のまわりを飛ぶ姿を2ヶ所で見ただけでした。
 珍しい高山性の昆虫と出会うには、生息地と生息環境、発生時期、活動時間、日照の影響などの行動パターンを細かくチェック、すべてをクリアするすることが大切であることを再確認しました。
 【JR中央線松本駅から松本電鉄で新島々駅下車、駅前からバスで上高地へ】

地上に降りてきたオオイチモンジ♂

梢から様子をうかがうオオイチモンジ♀

分布が限られるギンボシヒョウモン

ニホンザルもよく見かける


●南アルプス、ニホンジカの食害
  「櫛形山のアヤメ祭り」が中止! 原因はニホンジカがアヤメも食べつくしたため! この情報に距離的に近い北岳のホテイアツモリソウ、キバナノアツモりソウが心配で見に行きました。
 まず、登り口の広河原のクリンソウ、昨年はなぜか1本もなかったのですが、今年は小群落が復活、美しい花が咲いていました。亜高山針葉樹の森も、イチヨウラン、キソチドリなども道沿いで確認、少しほっとしました。全体として昨年よりシカの害は治まっている感じです。ところが、標高2000mから上の草原やダケカンバの疎林ではキバナノアツモリソウは1本しか見当たらず、周辺にはシカの糞がたくさんあります。ホテイアツモリソウは昨年の段階でも残存している株は少ししかなかったのですが、今年は双眼鏡まで使って探したのに見つかりませんでした。驚くべきことは3000m近い稜線付近まで獣道があること。単独で行動するカモシカのものにしては、はっきりしすぎているところから、集団で行動するシカと考えたほうが無理がないと思います。この高さの植物は再生能力が低いので本当に心配です。この状況は徐々にではなく、3年前から急激にひどくなったようです。

クリンソウは復活

今年は残雪が多い。二股上部付近


●多摩丘陵に現れた南の蝶
  最近、関東まで進出した代表的な南の蝶は4種あります。当事務所がある多摩市周辺の場合、ナガサキアゲハはよく見かける公園があり、市街地でも多くはないですが飛んでいます。ツマグロヒョウモンは丘陵地、河川敷ともに普通にいます。クロコノマチョウは1回見かけただけだけですが、知り合いの方がこの春、越冬した蝶を撮影しました。そして、4種のうち最後まで残っていたのがムラサキツバメでした。
 6月28日、百草園近くの林の中でムラサキツバメの1♀発見しました。私自身、東京では葛西臨海公園(2005年秋〜冬)以来2回目の出会いとなりました。薄暗い林の中を、輝くような暗紫色をパッパと見せながら飛ぶ姿は、怪しいまでに美しい!! このように感じられるのは超蝶マニアの特権? でしょうか?

薄暗い林で見つけたムラサキツバメ

尾がなければ大きなムラサキシジミのよう


森の動物出会いガイド
●多摩市・聖蹟桜ヶ丘周辺の動物
  昨年9月、事務所を多摩丘陵の多摩川よりの端にあたる当地に引越してから、いろいろな動物との出会いがありました。
 浅川・多摩川合流点ではイタチと出会いました。しかし、数は少なく、確実に生息が確認できるのはこの中洲のみ。事務所の近くの疎水、多摩川、大栗川周辺ではタヌキもよく見かけます。つい先ごろ土管のなかで赤ちゃんが誕生しました。毛が抜ける個体も多いのが心配です。イロハ坂の上の住宅地ではハクビシンの目撃例も多く、夕方、塀の上をゆうゆうと歩く姿には仰天しました。急激に増加しているようです。そして最近、百草園駅近くで予想外のアナグマにも出会いました。そこは急な崖と森に囲まれた神社で、すぐ近くまで大規模な墓地の計画があり、どうなるのでしょう。この他にアライグマもいるようですが、今のところ出会ってはいません。また、本来、数が多いはずのウサギですが、糞もなく、市街地周辺では見かけません。河原ではカヤネズミがいそうですが、重機を使う大規模な草刈があり、道沿いでは巣を見つけることはできませんでした。市街地から木の多い丘陵地の林に入ると、畑地や水田も残っており、おそらくイノシシ、キツネ、ニホンリス、ムササビもいると思います。

生後半月で顔つきもタヌキらしくなった

土管で暮らす親子


野山の鳥観察ガイド
●高尾山でサンコウチョウの営巣を確認!
  6月17日、高尾山に行きました。稜線から沢筋へ降りている時、「…ホィ、ホィ…」とサンコウチョウと思われる鳴き声を聞きました。一昨年の初夏、ギフチョウで有名な石砂山(神奈川県)以来で、この時は姿は確認できませんでした。サワギクなどの花を撮影しながらさらに下ると、撮影機材をセットして待機しているバーダー(野鳥観察の人)がいました。「なにかいるのですか」とたずねると「別に!」とつれない返事、その人物の目線の先にサンコウチョウの巣があり、雌がいました。彼は私に巣を見つけられたことが気に入らなかったようです。そのような訳で「無事に巣立ってほしい、騒ぎにならないように秘密にしましょうね」という常識的な会話すらできませんでした。彼の機材をよく見ると、禁じ手のストロボを出しているし、できるだけ巣に近づくようにと、三脚をかなり近くに設置したり、観察も少し離れて待機するような配慮はゼロ。嫌なムードなので早々に引き上げました。今年は高尾山でもサンコチョウが複数の場所で目撃されており、ついに営巣を確認できたのは幸運でした。
<補足>サンコウチョウの写真、暗いのでデジタル処理でなんとかなると思っていたのですが、無理でした。しかし、シルエットを見ると、サンコウチョウの尾羽がなぜ長いかは、その巣の形のためでは? と思えてきました。巣にうずくまり、顔を上げ、尾も上げている姿は、まるで木の枝のように見えます。巣だけだと結構目立つのですが、親が入ると分かりにくくなると思いませんか。
 【京王線・高尾山口駅下車】

サワギク

サンコウチョウの巣と雌


自然ウォッチングガイド「八ヶ岳と周辺の高原」
●ホテイラン咲き始める!
  6月10〜11日、南八ヶ岳、美濃戸〜南沢〜行者小屋〜赤岳鉱泉〜北沢のコースを歩きました。目的は珍しいランの花と、野鳥との出会いです。
 昨年より1週間遅く訪ねたにもかかわらず、ホテイランもやっと咲きだしたばかり、イチヨウランの花は十分に開いたものはなく、カゴメランは花茎がのび始めたばかりです。標高2300mほどの行者小屋付近は花どころか、まだ芽吹きの季節でした。亜高山の森は昨年より2週間は季節が遅れている雰囲気です。しかし、雪がさほど積もらない稜線はツクモグサが咲き始めていると聞きましたので、1週間も遅れてはいないと思います。春に低温が続き、雨も少なかった影響は亜高山地帯に集中的に出ているように思えました。
 このコースは夏の亜高山針葉樹を代表する野鳥、ルリビタキ、ウソ、メボソムシクイ、キクイタダキ、ホシガラスと出会うのですが、今回は亜高山にはいるものの、あまり見かけないサメビタキも目の前にとまってくれました。
 行者小屋のテント場で1泊しましたが、翌朝は放射冷却も重なり、初夏なのに気温が氷点下となって霜が降りました。帰路の木の橋なども真っ白でつるつる、こんな所で転落して笑いものになるよりは、はって渡りたいほどでした。
 【JR中央東線・茅野駅下車、駅前からバスで美濃戸口、こから徒歩で美濃戸へ】

ホテイラン

イチヨウラン

ウソ

サメビタキ


自然ウォッチングガイド「高尾山と多摩丘陵」
●セッコク満開!
  6月3日、久しぶりで高尾山に行きました。渓流沿いの6号路を琵琶滝まで、ここから登って霞台園地に達し、蛇滝コースを下り裏高尾を国道へ抜けます。
 ケーブルカーの駅の桜の樹には、6号路のスギの枝に着生していて台風で落ちたラン、セッコクが移植してあり、真っ白い花が満開でした。淵を泳ぐヤマメを見ていたら、頭上でガサガサと音がして、見上げるとニホンリスが枝伝いに姿を現しました。琵琶滝ではイワタバコの葉の緑が美しく、花の時期が楽しみです。滝手前で橋を渡り、急な道を登るとイナモリソウが1輪咲いていました。関東より西の太平洋側の山に点々と分布する種類で、この花を見るために高尾山に来る人もいます。4号路が有名ですが、こちら側にもあるとは…。
 園地で少し休んで蛇滝に下降、アサギマダラが優雅に飛んでいます。小仏川沿いではヒガシカワトンボなどが目立ち、春の蝶、ウスバシロチョウの生き残りも見つけました。カジカガエルの美声を楽しみながら昼前に京王線高尾山口駅に、コンクリートの架橋ではイワツバメのつぼ形の巣がいくつもあり、雛が顔を出していて、親が忙しそうに行ったり来たりしていました。 【京王線・高尾山口駅下車、6号路へ】

セッコク

ヒガシカワトンボ

イナモリソウ

カジカガエル


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