取材・撮影裏話

前の年へ   2010年  次の年へ

写真・文章 久保田

■企画・編集室から(2010年 秋〜冬)


新潮文庫『野鳥ポケット図鑑』
●珍しいトモエガモの群れを見に行く
 鳥好きの方から、「狭山湖にトモエが30ほど入っているよ」と教えていただきました。トモエガモは関東など太平洋側では迷鳥とされ、見つかっても単独か数羽までとされます。早速湖に行くと、堰堤の南の端の傾斜地に多数のカモが休んでいました。その近くに10羽ほどの小形のカモが浮かんでいます。コガモ? と双眼鏡で確認すると、お目当てのトモエガモでした。あまりにあっさり見つかり拍子抜けです。陸にあがって休んでいるカモをチェックすると、やはりトモエガモが点々と混じっており30羽ほどはいるようです。沖にはカンムリカイツブリの大きな群れが見え、少し小形に見える群れはハジロカイツブリのようです。カモの仲間はトモエガモの他に目立つのはマガモ、コガモ、ホシハジロぐらいで全体の数は多いのですが種類は少なかったです。これは今年の特徴だそうで、例年はオナガガモやハシビロガモなどの常連も多いそうです。この他にホオジロガモが少数いるようですが見当たりませんでした。
 まもなくカモたちの北帰行となりますが、今しばらくは楽しめると思います。
【アクセス】西武線・西武球場前下車、駅から狭山不動尊を抜け、自動車道を渡って右に行くと狭山湖に着く。
※堰堤付近には売店はないので、駅周辺で飲料水などを準備しておいたほうがよい。
※トモエガモ・環境省・絶滅危惧U類(VU)。カンムリカイツブリ・環境省・青森県の繁殖個体群絶滅危惧(LP)


コガモのような雰囲気のトモエガモの集団

トモエガモ♂

堰堤付近では一番多いマガモ

大集団をつくるカンムリカイツブリ


新潮文庫『野鳥ポケット図鑑』
●珍しいミヤコドリの群れを見に行く
 日本周辺のミヤコドリは大陸東部で繁殖、冬には東南アジアへ移動します。日本はそのメイン・ルートから少し離れているために、渡りの時期に北九州など日本海側の海岸などで少数が見られる程度でした。しかし、最近では太平洋側でも数ヶ所ですが姿を現し、旅鳥ではなく、越冬する群れもあります。その代表的な場所は東京湾の奥・三番瀬周辺です。この冬も100羽は軽く超える群れがいます。
 戦後、この鳥が東京湾で最初に確認されたのは1957年の秋で、「超珍鳥出現!」と大騒ぎになったと聞いています。なぜ増えたかは、この付近はかつて遠浅の広大な干潟でしたが、護岸工事、埋め立てで消失しました。その後、人工干潟として再生され、周辺河川の水質がよくなった関係もあり、ミヤコドリの好物のアサリなどの二枚貝が豊富な場所となったこと、さらに温暖化などが考えられます。東京湾にはこの他にも葛西臨海公園などに人工干潟が造られ、ミヤコドリだけではなく、珍鳥クロツラヘラサギなども迷い込んでくれるようになり、多くの水鳥が帰って来ました。
【アクセス】JR京葉線・二俣新町下車、駅から千葉方面に少し歩き最初の交差点を海側に約2kmで三番瀬(船橋海浜公園)/京成線・京成船橋駅からバス・船橋海浜公園行き終点下車。
※水鳥観察、特にミヤコドリの群れ観察は干潮時間をチェックしておいた方が効率はよい。

沖の干潟で2枚貝などをあさるミヤコドリの群れ

潮が満ちて沖から近くに来たミヤコドリ

ミユビシギはその名の通り後指(第1趾)がない

ここでは少し大きい部類に入るダイゼン


新潮文庫『野鳥ポケット図鑑』
●奇妙なツバメ? ヒメアマツバメ
 アマツバメの仲間は日本には3種、名前や姿はツバメに似ていますが、分類上は違う系統とされています。その中のヒメアマツバメは茨城県以南の太平洋側にいる留鳥で、多摩川でも下〜中流域に見られます。しかし、昔からいた鳥ではなく、主な分布域はアフリカ大陸から南〜東アジア南部でした。初めて日本で営巣が確認されたのは1967年・静岡県で、1980年以降は各地で見つかるようになりました。定着した原因は、海岸沿いにコンクリートの鉄道高架橋、建造物が増えるにつれ、本来、山に多かったツバメの仲間のイワツバメなどが、そのような場所にも巣を造るようになり、ヒメアマツバメはその巣を基礎として改築、繁殖するようになったためと考えられています。
 この時期、多摩川ではツバメの仲間はいませんから、河川敷の上空を20羽前後の小集団で飛ぶツバメのような鳥はヒメアマツバメです。同じ仲間のアマツバメは留鳥ではなく、赤道より南からやって来る夏鳥です。姿は似ていますが少し大きく、尾の形などが違います。多摩川付近では春と秋に通過するだけで、主な繁殖地は山地や山稜の崖周辺です。
※ごく稀に南に帰らず越冬するツバメがいます。最近、このヒメアマツバメを撮影した多摩川・一ノ宮より上流で、越冬ツバメが観察され撮影されました。
※この付近のヒメアマツバメの巣はイワツバメの巣を再利用したものが多く、多数の羽毛で再構築され子育て以外のこの時期にも利用されています。写真は京王線・高架橋に造られたもの。ここにはトックリ型のコシアカツバメの巣と思われるものもありました。

ヒメアマツバメ・多摩川・一ノ宮公園・1月10日

ヒメアマツバメ・多摩川・関戸橋下流・1月10日

イワツバメの空巣を利用したヒメアマツバメの巣

アマツバメ・八ヶ岳・横岳稜線・昨年6月10日


ネイチャーネットワーク『多摩川と源流の山々』
●冬、河川敷での猛禽の狩り
 12月24日朝、オオタカが川の中州で群れていたサギの集団に一撃、コサギを水に沈めて溺死させる狩りを見ました。この時期の多摩川中流域では時々目撃されるシーンですが、迫力はすごい。襲われたサギたちはしばし上空で騒ぎ、このただならぬ雰囲気にカラスたちがすぐにやって来ました。その間、オオタカは獲物となったコサギを水中に押さえ込み、動かなくなると引きずるように低く飛んで、岸辺の草むらに運び見えなくなりました
 
同じ猛禽でもノスリは飛翔能力が高く、獲物を軽々と鷲づかみして、追撃するカラスたちをかわし、近くのビルの屋上などに運びます。この場合、オオタカが狙うコサギより、カモ類を獲物とすることが多いと思います。ハイタカの獲物はムクドリクラス。しかも河原ではオオタカのような回り込み、待ち伏せ、太陽を背に姿を消すなどの巧妙な技術を駆使する姿はあまり見かけず、上空を旋回、時に急降下をするものの、狩の場所がブッシュ周辺で、現場を目撃することはほとんどありません。ハヤブサは急降下の加速が抜群で、飛んでいる小鳥を空中で一撃、そのままつかんで飛び去ります。チョウゲンボウはホバリングしながら空中から虫などを探しますが、寒くなるこの時期からは、見張り場からストレートに突っ込む小鳥専門のような狩をします。
※下の写真は京王線・聖蹟桜ヶ丘駅近くの多摩川河川敷・一ノ宮公園周辺で撮影しました。オオタカ、ハイタカは24日の同じ朝の時間帯ですが、他は半月ほど前のものです。ハヤブサは上流側、チョウゲンボウは下流側と、微妙に棲み分けをしているようです。
※その後、コサギが襲われた場所はサギは寄りつかなくなり、数羽のセグロカモメが舞い降りていました。しかし、29日にはすぐ近くでサギ(ダイサギ、コサギ)の集団が再形成されていました。ここはサギの餌場ではなく、休息場のひとつです。


コサギを溺死させるオオタカ成鳥

チョウゲンボウのホバリング

滑空するハイタカ

河原を見下ろす鉄塔で獲物を狙うハヤブサ


●初冬、川辺林に現れる野鳥
 多摩川中流域,浅川合流点付近は川辺林が発達しています。ハリエンジュ、ヤナギの仲間が優勢で、林床にイボタが潅木となって広がっており、草原もあります。このような場所は野鳥観察に最適で、特に初冬から葉が落ち見通しが利くので面白いものが見られます。猛禽類では山から降りて来たハイタカやノスリが居ついており、オオタカも姿を現します。草の実なども多いので、アオジ、ジョウビタキ、シメ、ツグミなどの常連から、カラ類の小集団、運がよければベニマシコや奇妙なキツツキの仲間・アリスイとの出会いも期待できます。
【アクセス】多摩モノレール・万願寺駅下車、徒歩5〜6分で多摩川総合グランド土手、ここから川辺林の踏み跡をたどり下流方面へ。
※猛禽類の飛翔観察は土手の上で十分。土手下の湧き水池はカワセミ、周囲はアオジ、シメなど。付近に売店、トイレはなく、弁当、携帯トイレ持参がよいのでは。

低い位置にとまり獲物を狙うオオタカ幼鳥

ノスリは林の上を滑空している

ベニマシコも各所に現れる

アリスイは少ないが、探せば見つかる


●初冬、雑木林に現れる小さな蛾
 12月上旬になると、東京周辺でも雑木林の葉が落ちて、林が明るくなります。この林床の落葉の上を小さな蛾がチラチラと飛ぶようになります。冬に成虫となるフユシャクの仲間で、関東地方ならクロスジフユエダシャクが多く、都市部でもコナラなどの林があれば必ず見つかる種類です。飛んでいるのは♂だけで、♀は翅が縮れてのびず、ないように見えます。フユシャクの仲間のほとんどが成虫になると蜜などを吸うことはありません。この時期に花は咲いていないし、霜が降りるので、体内に取り込んだ水分は凍結してしまう可能性もあるからでしょうか。その為、ストローを渦巻き状にしたような口は外部からはほとんど見えないほど退化しています。飛翔している♂は幼虫時代に体内に蓄えたエネルギーのみで♀を探して飛び回っていることになります。
 一見、よわよわしい蛾ですが、競合する種類や天敵を避け、他の蛾が飛べないような厳しい条件に活路を見出すように進化、繁栄している、したたかな種類です。

数が多いクロスジフユエダシャク♂

クロスジフユエダシャクの飛翔


●晩秋、樫林の日溜りにルリ色の蝶を探す
 11月中旬から12月上旬、東京より西の名古屋、大阪、福岡などの市街地から郊外の公園では、ムラサキシジミやムラサキツバメが日光浴をしています。見つかる場所は、アラカシ、マテバシイなどの常緑のどんぐりの実がなる樹(樫)が多く、風の影響をあまり受けず、日当たりのよい所です。ただし、午前10時〜12時頃のよく晴れた日に限られます。このような場所で樹冠付近を時間をかけて観察していると、サファイア・ブルーに輝く小さなムラサキシジミ達がチラチラと飛んで、葉にとまる姿を確認できます。この時期以外ではあまり降りてこず、翅もほとんど開けません。
 これらムラサキシジミの仲間は、樫の葉などにとまった状態で冬眠します。特にムラサキツバメは一ヶ所で集団越冬することが多く、上記の場所で根気よく探すと見つかることもあります。先日、多摩市の公園で観察した集団は、樫の葉ではなく、まもなく落葉する柿の葉に集まっていました。これからどうなるのか心配です。
※ムラサキシジはアラカシなど多くの種類の樫で発生しますが、最近、関東でも増えているムラサキツバメは、樫でもマテバシイ、シリブカガシに限られます。東京都・多摩市の場合、小さな公園でも植栽されたマテバシイをよく見かけます。このような場所でもムラサキツバメがいることが多くなりました。
※柿の葉に集まっていたムラサキツバメの集団を見つけた1週間後、同じ場所に行きました。10頭以上いた集団は数頭に減っており、周囲を探してみると、樫や別の柿の葉にも移動していました。


ムラサキツバメには後翅に尾がある・♀

翅が微妙な輝き方をするムラサキツバメ♂

集団で越冬するムラサキツバメ(多摩市・東京都)

ムラサキシジミ♀は前翅の青紫色斑が♂より狭い


●珍蝶ルーミスシジミを探す
 11月2日、珍蝶ルーミスシジミが生息する房総半島南部の照葉樹の森を渓流沿いに入りました。昨年もこの地域に行きましたが、今回は別の場所です。この時期なら陸ビルなどは出てこないと思い油断をしていると、いつのまにか足に這い上がっていました。あわてて主に渓流の中を歩くことに変更。この付近の地質は砂岩で、比較的やわらかく、流れの中に「ポットホール」と呼ばれる穴があいています。これは少しへこんだ場所に流れ込んだ石が水流でくるくるまわるため、削れて円柱状の深い穴となるもので、底には磨耗して球形になった石が見えます。サワガニも見かけますが、この付近のものは甲羅が青っぽいBL型と呼ばれるもので、通常の赤褐色・DA型のものとは雰囲気が違います。お目当てのルーミスシジミは深い渓流に太陽光が差し込む斜面の樹冠にいました。気軽に撮影できる距離ではありませんが、観察は堪能できました。よく似たムラサキシジミも混じり、光と影の関係で両種は遠くからだと識別が出来ないこともありました。特に翅を広げると、識別が簡単な翅裏が見えず、「ルーミス・ブルー」と呼ばれる明るい青がムラサキシジミのような青紫色に見えたり、逆のケースもあります。ムラサキシジミは関東以西に広く見られる種類です。午後になり観察を切上げて林道に戻りました。この付近にはクロコノマチョウもいて、帰り道にはソテツも目立ち、南国ムードを楽しめました。
※ルーミスシジミ・環境省・絶滅危惧U類(VU)。かつて奈良県・春日山原生林はルーミスシジミ生息地として国指定の天然記念物とされたが絶滅したと思われる。房総丘陵でもダム開発などで生息域が狭められている。

ルーミスシジ・翅裏が陰になると識別に困る

ムラサキシジミ♀・ルーミスシジミに似ている

ルーミスシジミ翅裏・房総の個体群は白っぽい

サワガニBL型


ネイチャーネットワーク『おいしいキノコと毒キノコ』
●奇妙なキノコ達
 10月10日、都立桜ヶ丘公園(多摩市・東京都)の記念館の近くで高さ15cmほどの奇妙なキノコが群生しているのに気づきました。調べるとスッポンタケ科のキツネノタイマツに似ていましたが、傘の雰囲気が微妙に違うような気がしました。2週間後の今回、同じ場所に行くとまだ発生が続いています。しかし、傘の部分が少し違い、キツネノタイマツそのもに見えました。このキノコは朝ぐんぐん伸びて、午後には倒れてしまうように思えるので、2週間前のものが残存することはなく、次々と発生を繰り返しているようです。たくさんあるので、生長、衰退のすべての過程が見られるので、前回と今回のものはタイプが違うのは明らかです。キノコは気温や湿度などでも影響を受けるようですし、おそらく同じ種類ではないかと思いますが、専門の知識もなく不思議な雰囲気です。キノコの野外での見た目の分類は難しいと改めて思いました。
※このキノコの仲間は傘の表面にグレバという臭気を発する膜のようなものでおおわれており、10月10日のものは何らかの理由でその膜が未発達、10月24日のものは通常通りに被われていたようです。
※このキノコ発生している場所を道を挟んだ向かい側にも同じキノコがありました。さらに多数の白色の卵状の幼菌があり、11月1日に行ってみると、近縁のサンコタケでした。頂部が裂開し、イソギンチャクのような雰囲気の個体もありました。

傘は鮮やか紅色10月10日

多数群生していた10月10日

傘は泡状の突起はない10月24日

頂部が裂開したタイプのサンコタケ?11月1日


学習研究社『里の花』
●いろいろなツユクサ
 10月10日、都立桜ヶ丘公園(多摩市・東京都)の林縁でツユクサの白花を見つけました。白花が咲くのは数株あり、遺伝的に固定された品種と思います。
 1ヶ月ほど前、多摩川の河原ではツユクサのように見えるが、草丈が60〜80cmもある巨大な群落を見つけました。よく観察すると、花弁の青紫色が薄く円形、なにより大きな花を咲かせるタイプでした。同じ場所に咲く普通のツユクサとは雰囲気が全然違いました。染物の下絵の染料に使われる栽培変種オオボウシバナも大きいですが、濃い青紫色のはずです。あるいは園芸品にこのようなものがあり、逸出したのか? 外来種なのかなどは分かりません。
 よく見かける種類を注意していると、このような変わり者を見つけることもあるので楽しいと思います。
※大きな花弁で色が薄いツユクサは、外来種かと思いました。しかし、専門の方の判断では、普通のツユクサの色の薄いタイプと判明しました。苞に毛があるので「ケツユクサ」と呼ばれるとのことでした。いろいろご指導ありがとうございました。

白花である以外は通常のツユクサと姿、形は同じ

通常のツユクサ

青が薄く花弁が大きいタイプ

通常のタイプとの比較


●鬼怒川中流域の蝶
 9月26日、栃木県さくら市周辺の鬼怒川河川敷を歩きました。この付近は丸石河原で、景観は多摩川中流域に似ています。しかし、多摩川に比べるとオオブタクサ、アレチウリなどの目立つ外来種が少なく、ススキが多い印象です。ここには多摩川中流域では1960年代に絶滅したツマグロキチョウやシルビアシジミ、ミヤマシジミが現在も生息しています。原因はこれらの蝶が食草としているカワラケツメイ、ミヤコグサ、コマツナギが豊富に残存しているためと思います。多摩川にもこれらの植物はありますが、周辺環境の激変、河川工事などで大きな打撃を受け、急激に減少しました。河原を歩きながら観察すると、多摩川で希少種となっているカワラニガナやカワラノギクなども咲いており、50年前の多摩川の植生はこのようなものでは? と感じました。
シルビアシジミ・環境省・絶滅危惧IB類(EN)・栃木県さくら市天然記念物、ツマグロキチョウ・環境省・絶滅危惧U類、ミヤマシジミ・環境省・絶滅危惧U類

キチョウ(左)によく似た
ツマグロキチョウ(右)

シルビアシジミは絶滅、激減した地域が多い

ここのミヤマシジミは関東平野の貴重な個体群

ミヤマシジミ左が♂、右が♀


新潮文庫『野鳥ポケット図鑑』
●多摩川周辺、初秋の猛禽類
 9月も中旬になると、渡りをするサシバなど、猛禽類の移動が始まります。多摩市・多摩川中流域周辺では渡ってゆく猛禽を見ることは少ないですが、漂鳥のミサゴをよく見かけますし、大栗川合流点付近ではオオタカも成鳥、幼鳥ともに河岸の林に出て来るようになりました。早朝、チョウゲンボウがかん高く鳴くことも多く、幼鳥もすっかり成長して中州周辺などを飛び回っています。山にいたノスリも下りて来て、河原周辺でも姿を見せはじめたようで、まもなくハイタカも現れます。今年はなぜかハヤブサの出現が少ないような気がします。近くの自然公園の何ヶ所かにツミがいて、営巣場所から少し離れた林の中を飛び回る幼鳥を見かけることもあります。
【京王線・聖蹟桜ヶ丘駅下車。駅から多摩川に出て下流に15分ほどで大栗川合流点の野鳥観察舎あり】
9月24日、関戸橋の少し上流の中洲の木にオオタカ・第1回成鳥と思われる個体を観察しました。この付近から京王線架橋付近は数年前の大増水以降、オオタカの目撃例が減少した地域です。今年あたりからまた戻ってくるかも知れません。

魚を鷲づかみして上昇するミサゴ

チョウゲンボウの幼鳥と雌の区別は難しい

胸の縦斑から幼鳥と判断がつくツミ

胸、腹に縦斑があるのがオオタカ幼鳥


学習研究社『山の花』
●丹沢山地の秋の名花を訪ねる
 9月12日、丹沢の昨年と同じ場所に「丹沢の貴婦人」と称されるサガミジョウロウホトトギスを見に行きました。この花は丹沢でも極めて限られた沢の上部にしか分布しない貴重な種類です。今年の夏は少雨に加え猛暑となったためか花は少なく、葉がすべてなくなった茎頂に、花だけがついているものもありました。昨年はこのような株は見ませんでした。もうひとつの名花イワシャジンも水際に垂れ下がる花はありません。先日の台風9号がもたらした驚愕的な集中豪雨で茎ごと流されたのかもしれません。やっと水流の影響が少ない場所で見つけました。似た花もありますが、がく裂片のまばらな鋸歯などで確認できました。この花も貴重な種類で、中部地方南部、関東地方西部の深山の渓流沿いの岩壁などでしか見つかりません。ここにはホトトギスも多いのですが、数はあるものの、昨年は多かった生育の良い株はほとんどありませんでした。
サガミジョウロウホトトギス・環境省・絶滅危惧IA類(CR)

イワシャジンの花柄は花冠よりも長い

花は葉腋からでるホトトギス

サガミジョウロウホトトギスの花は茎頂が多い

同じ場所にツルニンジンも咲いていた


学習研究社『高山の花』
●北岳3000m稜線に咲く珍しい花を探す
 9月4〜6日、北岳(標高3193m)周辺の稜線を歩きました。この時期は極めて珍しいヒメセンブリ、アカイシリンドウ、サンプクリンドウの花が咲いています。いずれもほとんど群生せず、小さいので見つけるのは大変です。しかし、この稜線では石灰岩質など、限られた場所に集中する傾向があり、なんとか撮影できました。同じような場所で見られるタカネマンテマは花は終わっていますが目立つがく筒が上を向いています。シロバナタカネビランジもすでに花の時期は過ぎていますが、登山道沿いでは八本歯と北岳山頂に1株ずつ花が咲いていました。これらの種類は世界的な分布域では最南端に位置していて、単に超希少種というだけではなく、学術的にも貴重な植物群です。
ヒメセンブリ・環境省・絶滅危惧IA類(CR)、タカネマンテマ・環境省・絶滅危惧IA類(CR)、アカイシリンドウ・環境省・絶滅危惧IB類(EN)、サンプクリンドウ・環境省・絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。

大きさが極端に違うアカイシリンドウ(上下)

サンプクリンドウは花は小さい

ヒメセンブリも朝から花冠が全開していた

筒が上を向くタカネマンテマ

前の年へ   2010年  次の年へ トップのページに戻る